お知らせ/コラム
改めて知る「取適法」
下請代金支払遅延等防止法の改正法が2026年1月1日に施行され、規制内容の追加や規制対象の拡大がなされるとともに、法律名が「中小受託取引適正化法(取適法)」(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)に変わります。用語も変更されて、親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者、下請代金は製造委託等代金へと変更されます。適用対象が拡大され、従来の資本金基準に加えて下記の通り従業員基準(300人、100人)が追加され、規制及び保護の対象が拡充されます。

取引の内容が、物品の製造・修理委託、プログラム作成、運送・保管などの場合と、プログラムを除く情報成果物作成や、役務提供委託の場合によって、基準の内容が変わることは従来と同様に注意が必要です。
また、対象取引に「特定運送委託」が追加されます。「特定運送委託」とは、事業者が販売する物品、製造を請け負った物品又は作成を請け負った情報成果物が掲載されるなどした物品について、その取引の相手方に対して運送する場合に、その運送の行為を他の事業者に委託することをいいます。物流業界ではこれまで荷待ちや積み下ろしなどが無償で行われる慣行が問題視されていました。
その他、下記の内容が禁止行為に追加されています。
【書面・電磁的記録による明示義務】
「口頭で仕事を依頼され、後からギャラを引き下げられた」「仕様変更を何度もさせられた」というトラブルを防ぐため、仕事の内容、報酬額、支払期日などを必ず書面やメール等で明確に残すことが義務付けられました。
【報酬支払期日の設定(60日以内)】
成果物を納品してから、支払いが3ヶ月後、4ヶ月後といった引き延ばしを禁止します。原則として、成果物を受け取った日から60日以内の出来る限り短い期間内で支払期日を定めなければなりません。
【協議に応じない一方的な代金決定を禁止】
代金に関する協議に応じないことや、必要な説明を行わないことなど、一方的な代金決定が禁止されます。
【手形払い等を禁止】
手形払いが禁止されるとともに、その他の支払手段(電子記録債権等)についても、支払期日までに代金相当額満額を得ることが困難なものが禁止されます。
【不当な行為の禁止】
受託者に非がないにもかかわらず、成果物の受け取りを拒否したり、報酬を減額したり、不当に返品したりする行為(いわゆる「買いたたき」や「押し売り」など)が厳しく禁止されます。
原材料費や人件費の高騰が続く中で、「価格転嫁が進まない」「立場の弱い事業者に負担が偏る」といった日本企業の長年の課題が、今回の法改正により解決に向かうことが期待されます。企業にとっては、違反リスクへの対応だけでなく、持続可能な「取引先との信頼関係構築」が競争力そのものになる時代に入ったと言えるでしょう。