コラム

【豪雨・防災対策】 雨水貯留施設と排水資材

 昨今、1時間に50mmを超えるような「経験したことのない大雨」が頻発し、都市型水害(内水氾濫)のリスクが高まっています。従来の排水管の能力だけでは処理しきれない雨水に対し、土木・上下水道の現場では「一時的に雨水を溜める」「地中に浸透させる」という新発想の資材・工法が不可欠となっています。

1.なぜ今「雨水貯留・浸透施設」が必要なのか?
都市化が進んだ現代では、アスファルトやコンクリートによる被覆面積が増え、雨水が地中に浸透しにくくなっています。そのため、大雨が降ると一気に排水路や下水道へ雨水が流れ込み、溢れ出てしまう「内水氾濫」が発生します。

これに対し、河川や下水道への負荷を軽減する「流域治水」の考え方が主流となっており、民間施設や公共インフラの敷地内での雨水コントロールが強く求められています。

2.雨水対策の中核を担う主要資材
① プラスチック製雨水貯留構造体:『クロスウェーブ』(積水化学工業) / 雨水貯留浸透ユニット:『レインキューブ』(前澤化成工業)
地下貯留槽の主力を担うのが、軽量で高強度のプラスチック製貯留資材です。

雨水貯留槽、雨水浸透施設など雨水流出抑制・浸透対策なら|クロスウェーブ特設サイト - 積水化学工業

『クロスウェーブ』 積水化学工業
雨水貯留浸透ユニット|前澤化成工業株式会社
     『レインキューブ』 前澤化成工業

積水化学工業 『クロスウェーブ』: 空隙率95%という驚異的な貯留効率を誇る業界のデファクトスタンダード。手作業で積層・施工できるため重機の手配を最小限に抑え、大型車両荷重(T-25)にも耐える強固な設計です。

前澤化成工業 『レインキューブ』:従来の砕石施工に代わる、前澤化成工業(マエザワ)の画期的な雨水貯留浸透ユニットです。

主な用途:住宅地・店舗駐車場、狭小地、起点・合流点マスの周辺など。

高空隙率(約90%)によるコンパクト化:砕石工法(空隙率30〜40%)に比べて約90%の空隙率を確保できるため、同じ貯留量を確保しながら掘削面積・製品サイズを大幅にコンパクト化可能。

自由度の高い施工性:工具不要で組み上げられる部材設計により、現場の制限・スペースに合わせて「集中設置」からマスごとの「分散設置」まで柔軟に対応可能。

高強度(T-2対応)&再生プラスチック使用: 軽量でありながら強度に優れ、環境にも配慮した資材。

② 雨水浸透マス・小口径排水マス(タキロンシーアイ / アロン化成 / 前澤化成工業)
集めた雨水をスムーズに排水・浸透させ、かつ目詰まりを防ぐ現場の必須資材です。

タキロンシーアイ 『雨水浸透マス』・『透水マス』:住設・土木資材の知見を生かした高精度な各種マス類を展開。側面の透水構造や泥ため設計により、地中への効率的な浸透と維持管理のしやすさを向上させています。

アロン化成 / 前澤化成工業 『泥ため付き雨水マス・小口径マス』: マス底部に泥や落ち葉を溜める「泥ため(バケット)」を装備。塩ビ(PVC)やポリプロピレン(PP)製で腐食に強く、施工性とメンテナンス性に優れています。

主な用途:住宅街の側溝沿い、駐車場周り、敷地内の雨水配管分岐部。

3.資材選定時に押さえるべき「3つのポイント」
上部荷重(耐荷重性能)の確認:設置場所が「歩道・緑地等」なのか「大型トラックが行き交う駐車場」なのかによって、貯留槽のタイプ選定やマスの防護蓋規格(T-2、T-14、T-25など)が変わります。

目詰まり・メンテナンス性の考慮:浸透機能を持たせる場合、泥や落ち葉の流入による目詰まりが最大の課題です。定期清掃がしやすいバケット付きマスや点検坑の併設が推奨されます。

地域自治体の技術基準への適合:雨水浸透・貯留施設の設置については、自治体ごとに固有の設置基準や助成金制度が設けられているケースが多いため、規格の事前確認が必須です。

雨水対策は、敷地内の配管設計(建築・上下水道)から、大型地下貯留槽の選定(土木)まで、総合的な視点が求められます。

気候変動に伴う激甚災害への備えは、今やインフラ・建設業界全体の急務となっています。雨水対策を成功させる鍵は、一律の設計にするのではなく、敷地規模や用途に合わせて『クロスウェーブ』による大型集中貯留と、マエザワの『レインキューブ』や高機能マスによる分散処理・浸透を適材適所で組み合わせることなども効果的です。

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